スタッフコラム

「ふくしま浜街道トレイル」と「みちのく潮風トレイル」約1,200kmを歩いて

2023/06/30 みちのくトレイルクラブ
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こんにちは。
みちのくトレイルクラブ事務局員の柳田です。

2023年3月27日から2023年5月25日まで59日間で東北太平洋沿岸に通る2本のロングトレイルを、みちのくトレイルクラブ「新人研修」としてスルーハイキングしてきました。歩いたことのないトレイルでは、お客さまに案内することも、その未来を考えることもできない、というNPOの方針で、入社すると全員歩くことになっています。

2本のトレイルとは、今年度開通予定の「ふくしま浜街道トレイル」、それと、「みちのく潮風トレイル」です。この2つのトレイルは福島県新地町と相馬市で重なっているルートがあり、接続して歩くことができます。ふくしま浜街道トレイルは現在開通に向けて準備中ですが、みちのくトレイルクラブは構想当初よりトレイル敷設のお手伝いをしていることもあり通行可能なルートを選んで歩いてまいりました。

福島県いわき市の勿来海岸にある鳥居を出発して、北上約1,200kmを歩き、青森県八戸市にある蕪島までの旅。

1,200km…を振り返りたいと思いますが、思い出が多すぎてすべて書くと、分厚い本になってしまいそうです(笑)。このトレイルの魅力や楽しかった思い出は「ちょっと」では語り尽くせません!語り足りないところが山程ありますが、少しだけ振り返ってみたいと思います。

1: ふくしま浜街道トレイル 

【追加情報2023/10/1】
ふくしま浜街道トレイルホームページ
https://fukushima-coastal-trail.jp/
マップなどこちらからご閲覧いただけます。

2023年3月27日福島県いわき市の勿来海岸に立ちました。

神々しい鳥居と美しい海、そして前日の強い雨が嘘のように最高に晴れた天気、「これから旅が始まるぞ!」とワクワクして出発しました。現在鋭意取組み中のふくしま浜街道トレイルマップの線を辿ると、しばらくはいわき七浜海道と同じルートを辿ることになります。まずは、勿来の関をぐるっと回り、歴史探索。
坂を登りきると勿来の関桜まつりの開催準備がされていました。道を観察すると、排水溝のかわいい絵柄が。様々な趣向が凝らしてある道を楽しみながら歩きました。


再び海岸沿いに降りるとひたすらに続く平坦な道。右を見ると美しい海。春の潮風が気持ちいい。(ときに強風で悩まされました(笑)。 新たな街ができているところを通ってみたり、三崎公園マリンタワーを通ってみたり、とバリエーション豊かな道を楽しめました。


後半に差し掛かると、放射能の影響が残り帰宅困難地域となっている街を通ります。復興の現在進行を感じ取ることができました。地元の方はじめ、いろいろな方と交流をして、ふくしま浜街道トレイルとみちのく潮風トレイルの接続ポイントである福島県相馬市にたどり着くことができました。

ふくしま浜街道トレイルは福島県のリアルな「今」を感じられるトレイルだと思いました。
時が経過したらまた歩いてみて、2023年3月からどう変わったのか?を感じてみたいと思ったトレイルです。

2: みちのく潮風トレイル

みちのく潮風トレイルのルートに入りました。ここから北はみちのく潮風トレイルを示す”印”があります。

トレイルとはなにか…「信頼してついていくことのできる”印”のつながりだ」。(ロバート・ムーア著/岩崎晋也訳 トレイルズ「道」と歩くことの哲学 より)とする一説があります。開通前のふくしま浜街道トレイルを歩いたあとの私はその意味を実感していました。


「道に!トレイルブレイズ(印)がある!!!!」


ここまでみちのく潮風トレイルを作り上げてきた皆様のお力に感激しつつ、みちのく潮風トレイルを歩き始めます。

時折吹く強風に苦戦をしながらも順調に歩き進め、石巻市に到着。ここで、みちのく潮風トレイル名取トレイルセンターでのイベント「みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンター トレイルデイズ2023」に参加するために名取市に戻りました。4月15日、4月16日両日ともにたくさんの方にご来館いただき楽しい会となりました。地域の方とハイカーが交わり、感動的なもので、ご参加いただいた皆様のご協力のもと、楽しいイベントを開催することができました。(トレイルデイズの開催レポートはこちら

楽しいイベントが終わり、トレイルに戻ります。
石巻市から北はここまでのセクションとは雰囲気がガラッと変わり、自然深いエリアが多くなってきます。気持ちが切り替わり、ロングトレイルの世界にどっぷりと浸っていきます。
途中から新人研修だということをほとんど忘れて楽しんでいました。すみません(笑)。

太平洋沿岸の景色、半島の雰囲気、数々の里山…。そして震災を経験した街並みを通ります。住宅地域を通ると、毎日のように地元の方から「どこから来たの?どこまで行くの?」と優しく声をかけてもらいました。GW期間が重なった時期もあり、たくさんのハイカーさんとすれ違いできました。会うたびにこんにちはと挨拶、それと道端で少しだけお話。ハイキングを通じると、はじめましての人同士でも気軽に話せてしまうというのは不思議な感覚です。

ロングトレイルのスルーハイクは途中の街でゼロデイ(1日歩かない休息日)を取って、観光するのも楽しみの1つです。美味しいものとお酒が大好きな僕は、地元の人にオススメのお店を聞いて、ときにハシゴしたりもしました。また行きたいお店がたくさんあります!このスルーハイキングが終わったら…南下でセクションハイクを繰り返すのもいいなぁと歩き去る街に後ろ髪を引かれながら、コツコツ歩き八戸市蕪島に無事到着してスルーハイキングを完了しました。

たくさんの人に助けてもらいながら歩いた1,200kmでした。みちのく潮風トレイルを何度も歩いているハイカーさんのお話を名取トレイルセンターで聞かせてもらっていましたが、歩き終えてなるほど納得。何度も歩きたいくらい魅力に溢れていて、一度歩いただけでは取りこぼしがあってまだまだ足りません!

サポーターズの皆様に感謝

みちのく潮風トレイルサポーターズに登録いただいている施設様にもたくさんお世話になりました。
塩竈市のしおがまゲストハウスみなと丸さんではハイカープランでお世話になりました。名取市から近いので、何度か遊びに行っております。大好きな宿です。
石巻市では新たに民泊サービスを始めたm.s.s.booksさんでお世話になりました。オーナーの地現さんは筋金入りのロングトレイルハイカー。この先のハイキング計画についてアドバイスをいただきました。
その後日に寄った唐揚げこっこ屋さんでいただいた愛情たっぷりの大盛り唐揚げ…とんでもなく美味しかったです。
気仙沼市ではペンションヴィラプチろくさんで、テントを張らせていただき、おにぎりの差し入れをいただきました。
先月6月に新たにサポーターズ登録をいただいた気仙沼市のゲストハウス スローハウスさんではスルーハイク中に2泊お世話になりました。そのうちの一夜はスローハウスさん開催のパーティにお招きいただき、様々な旅の仕方をしている方々とお話できて楽しい夜でした。
八戸市では洋酒喫茶プリンスさんへ。みちのく潮風トレイルハイカーが集う場所になっておりました。私が訪れる数日前に北上スルーハイカーが立ち寄っていたとのこと。お話を聞くと私が少しだけ一緒の区間をご一緒させてもらって歩いたハイカーでした。
そして後から来た常連のお客さんとお話すると、なんと!数日前のスルーハイカーにプリンスさんで会ってるよー!と!偶然が起きるのがみちのく潮風トレイル。震えました。

偶然といえば、岩手県田野畑村の明戸キャンプ場で名取トレイルセンターサポーター(通称:グリーンメンバー)さんに出会いました。名取市から300km近く離れた地で偶然会うとは…ミラクルが起きています。

トレイルの未来に向けて

この他にもまだまだたくさんエピソードがあります。
話そうと思うとたくさんの思い出があり、一つ一つ、お一人お一人忘れることのできない思い出となりました。道中本当にたくさんの方に優しくしていただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
2ヶ月間歩いてきて、オススメのお店をたくさん知ってきたので名取トレイルセンターにぜひお話しに来てくださいね。
そして、みちのく潮風トレイルになにかしたい!と思った方がいらっしゃいましたらぜひサポーターズ登録またはグリーンメンバーのお問い合わせを「みちのくトレイルクラブ」へお願い致します!!

この素晴らしいロングトレイルである「ふくしま浜街道トレイル」と「みちのく潮風トレイル」を、もっとたくさんの方に楽しんでいただき、地域の方も一緒になって楽しんでもらえるような道にするために頑張っていこう!と強く思えた新人研修でした。
皆様のご支援とご理解のおかげで本当に貴重な機会をいただきました。
心より御礼申し上げます。

これからますます暑さが厳しくなる季節となります。
皆様お身体お気をつけて、これからも楽しいハイキングを。

Happy Trails & See you on the Trail!!!!

著者 : みちのくトレイルクラブ

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