「潮風ふわり~みちのく潮風トレイルで大好きな東北を歩くブログ」
この記事を読んでくださっている方の中にはきっと、「潮風ふわり」のファンがいらっしゃるのではないでしょうか。かくいう私(みちのくトレイルクラブ・板橋)も間違いなくそのうちの一人です。開設されて間もない2015年頃から熱心にこのブログを読んでいました。
当時のみちのく潮風トレイルは環境省が地域の方々の力をお借りしながら区間開通を少しずつ重ねていた頃で、全線開通はまだまだ先。ハイカーも今とは比べ物にならないほど少ない人数でした。そんな9年前にこのブログを見つけた私は、「実際にトレイルを歩いてブログを書いてくれている人がいるんだ!」とそれはもう高揚感に包まれ、あたかも自分の手柄のように得意満面でトレイル関係者に紹介しておりました。今それを回顧すると恥かしさで少し赤面してしまいます。
東北太平洋沿岸部は復興工事の真っただ中、まだ大型ダンプが土埃をあげてひっきりなしに砂利道を行き交い、部分的に開通はしたものの「トレイルを歩く際は工事車両に十分気を付けてください」というアナウンスが必要だった時期。歩いた方から厳しいご意見をいただくことも少なくはありませんでした。
(歩く人、本当に増えるかな・・・)なんて後ろ向きな気持ちになったことも幾度かありました。
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ブログ「潮風ふわり」には東北が大好きな著者がゆっくりとした歩みでその時々のみちのくの「いま」を見つめ、地域の人と出会い、自然と対峙する姿などが丁寧で繊細な表現で綴られています。その根底に流れているのは行く先々の土地と人への揺るがない敬意と愛情。お年寄りがかけてくれたという言葉にホロリときたり、一人で山道を歩く時の心細さに共感したり、時にはニヤリとさせられたり。等身大の女性ハイカーの体験や感情に心をわしづかみにされた私は、首を長くして次の更新を待ち望んだものでした。
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名取トレイルセンターで働き始めた翌年の2020年。たまたま施設を訪れた女性ハイカーさんとお話をした際に、私の心に何か引っかかる不思議なものがありました。
「もしかして、潮風ふわりさんではないですか?」不躾ながらどうしても今ここで聞かなければいけない、そんな気持ちになったのです。直感は大当たり。目の前のハイカーさんはかつて私に希望と勇気を与え続けてくれたふわりさんご本人でした。
ふわりさんが8年という長い歳月をかけて全ての道を歩き終えたのは2022年の10月。ブログも全踏の記録まで更新されました。その後も、ふわりさんはこの一筆書きの道を何度も歩きに来ています。
みちのくに大好きな場所と大好きな人たちがたくさんできたから。
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ブログ「潮風ふわり」がふわりさんの自費出版でついに書籍化されました。厳選したという手に馴染む表紙の質感と紙とインクの匂いがとても心地良く、優しい気持ちになれる本です。
ふわりさんの8年間の想い出と写真が詰まった一冊を手元に置いて、今とは違うみちのく潮風トレイルの風景を一緒に感じて歩いてみませんか。
名取トレイルセンター内のショップ「TRAIL GATE」では「潮風ふわり」の取り扱いを店舗限定で開始しました。ご興味のある方はぜひショップに足をお運び下さい。
みちのく潮風トレイル記「潮風ふわり」(著者:居酒屋くろいねこ)税込:2,300円
※ご好評につき現在在庫が少なくなってきており、入荷するまで少しお待ちいただく場合がございます。ご了承下さいませ。