5月28日(土曜)に「海辺の草花観察会 in 名取閖上」を開催しました。
主催:「北の里浜花のかけはしネットワーク」様、「NPO法人 名取ハマボウフウの会」様
共催:「みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンター」
東日本大震災の津波とその後の防潮堤建設などの防災事業によって海岸の動植物は壊滅的な被害を受けました。失われた海浜の生物多様性がどれだけ回復しているのか、今回の観察会では閖上にはどんな海浜植物が生息しているのかを見てきました。
参加者は小学校低学年の児童から60歳台後半の方まで幅広い年齢の方の参加がありました。
午前の第一部では、名取トレイルセンター近くの名取市閖上の砂浜で【海岸で観察会】を行いました。
閖上の海岸は防潮堤から海(波打ち際)までは約230メートルの奥行があり、その間の広い砂浜にはハマボウフウ、ハマヒルガオ、ハマエンドウ、ハマニガナ、ハマニンニク など沢山の海浜植物を見ることができ、参加者は 宮城植物の会 杉山先生、北海道大学 松島先生からの説明を聞きながら熱心にメモを取り写真を撮影していました。
昼食時には名取ハマボウフウの会様の計らいで、地元閖上の方々が作ったハマボウフウの天ぷらを試食させていただきました。 ハマボウフウは閖上では古くから食用として、おひたしや天ぷらにして食べられていたそうです。
ハマボウフウは漢字では「浜防風」と書きますが、「風」は風邪(病気)を表していて、同じキク科の「ボウフウ」と同じく解熱などの薬用効果があるとされていました。そのため、薬の原料として乱獲され、また、津波や防潮堤の建設などにより一時、宮城県の絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に指定されていましたが、現在は保護活動の成果もあり、数を増やし絶滅危惧種の指定からは外れています。
午後の第二部では、震災前に閖上の砂浜近くに住んでいた方々が親しみを持ち、少しでも砂浜を近くに感じてほしいとの思いで設置した砂浜花壇で【砂浜花壇の植物観察会】を行いました。
砂浜花壇には北の里浜花のかけはしネットワーク様の活動で石狩中学校の生徒たちが育てたハマボウフウなどの苗が植えられています。
海浜植物の種類毎の株数調査を行い、また、アカザやカタバミなどの雑草抜きを行いました。 今後も定期的に海浜植物の観察を行いながら成長を見守っていきたいと思います。
参加者から1日を通して以下のような感想がありました。
・いつも通っていた地元閖上のこの広い海岸(砂浜)が地理的に珍しいということに改めて気が付いた。
・昨年、砂浜花壇にハマボウフウを植えたときは根っこだけでどうなるかと思ったけど、こんなに育ってくれてうれしい。
・閖上の浜には植物が沢山あり、それが当たり前だった。震災の津波でほとんどもっていかれたが(波にさらわれて植物が無くなってしまったが)こんなに植物が戻ってきている(復活している)のは自然の力はすごいと思った。
・砂浜にくると、普段は遠くの景色しか目に入らなかった。足元を見て歩くことはほとんどなかった。今回、海浜植物について教えてもらったので、今度からは植物を良く見ながら歩こうと思う。
ハマボウフウだけではなく、夏以降も砂浜をきれいに彩る様々な海浜植物たちが沢山あるので見に来てください。
おまけ(閲覧注意:昆虫が苦手な方はこの下は見ないほうが良いかも。。。)
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キアゲハの幼虫が砂浜花壇のハマボウフウを食べに来ていました。