みちのくトレイルクラブより

ふくしま浜街道トレイル沿岸ルートが開通しました!

2023/10/26 みちのくトレイルクラブ
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2023年9月30日、福島県新地町からいわき市までの10市町をつなぐ「ふくしま浜街道トレイル」沿岸ルートが開通しました。みちのく潮風トレイルと合わせると、東北地方太平洋沿岸部4県37市町村が1本の道で繋がりました。

2019年のみちのく潮風トレイルの開通式典の際に、相馬市の立谷市長とタレント・俳優のなすびさんが、「福島県人としては、いつかこのトレイルをいわき市の勿来まで延ばしてほしい」と発言されたことをきっかけに取り組みが始まったこのトレイル。

福島県浜通りの13市町村が協働し観光推進に取り組む「うつくしま浜街道観光推進会議」が事業の中心となり、公財)福島県観光物産交流協会、宮城大学小沢研究室、一社)トレイルブレイズハイキング研究所(一社)トレ研)が協力し、私たちみちのくトレイルクラブも、みちのく潮風トレイルの南に続く道であるトレイルの敷設のお手伝いをしてきました。

折角の機会ですので、過去の事業の様子を振り返ってみようと思います。

2019年度

みちのく潮風トレイルの全線開通式で発言された「勿来まで道をつなげてほしい」という声を受け、当時環境省東北地方環境事務所所長だった小沢さんが福島に関係する方々に声をかけ、福島沿岸のトレイル構想が静かに産声をあげました。
トレ研長谷川さん、みちのく潮風トレイルのルート策定に関わった環境省のレンジャー、トレイルクラブの相澤、関の4人でまずは福島沿岸を車と徒歩でリサーチに出かけました。

2020年度

2019年のリサーチに続き、トレ研、トレイルクラブ、他ハイカーらと福島沿岸に複数回足を運びリサーチ、そして、トレ研の長谷川さんが引いた仮ルートの現地調査から本事業はスタートしました。
まずは歩いてみねば!興味を持ってくれたハイカーが二人、この時福島を歩いてくれました。

その後、関係自治体の皆さまとの合同会議を開催し、現地調査の結果報告と、これからの事業の進め方について確認をしました。また、この事業のきっかけを作ってくださったなすびさんにもご参加いただき、富岡町〜いわき市久之浜までの1泊2日のハイキングイベントや、オンラインでの事業報告会を実施しました。

2020年度モニターツアーゴール地点(いわき市久之浜)

2021年度

みちのく潮風トレイルのルートは、環境省の各地域のレンジャーが、開通後も地域の方に愛着を持っていただけるようにと、地域ごとにワークショップを実施してルートを決定しました。ワークショップに参加した人がルートの整備等に協力されている例もあり、ふくしま浜街道トレイルもこの考え方を大事にして、各地域で合計16回のワークショップを実施しました。

こうしたワークショップと並行して、なすびさんに、新地町からいわき市までの暫定ルートを通しで歩いていただきながら、道中の様子をSNSで発信いただくなどPRを行ってきました。

なすびさんスタートの様子(新地町釣師浜)

2022年度

2020年度の事業開始から毎年度頭に実施している関係自治体の皆さまとの会議で「ふくしま浜街道トレイル」という名称が決定しました。「ふくしま」の復興をアピールしていく思いも込められています。

また、ロゴも作成しました。浜通り地域は、阿武隈山系と太平洋に囲まれた非常に自然豊かな場所です。ロゴもここから着想を得ており、真ん中の直線がトレイルルート、左側の曲線が阿武隈山系の山々、右側の曲線が太平洋の波をイメージした3本の線から構成されています。

名称やロゴの決定に加え、ワークショップ結果を元に策定した暫定ルートの歩行調査、地域の方やハイカーに知っていただくために、ハイキングイベントやシンポジウムを実施しました。

2023年度

そしていよいよ、9月30日〜10月1日にふくしま浜街道トレイル沿岸ルートの開通イベントが実施されました。今年度はこれから更に、トレイルの持続可能な運営のための運営計画の策定やロードマップの作成など実施する予定です。地元でトレイル運営を担ってくれる方々との勉強会なども開催していきます。

以下、開通式・シンポジウムと、翌日に開催されたハイキングイベントの様子を簡単ににお届けします。

9月30日(土)ふくしま浜街道トレイル沿岸ルート開通式・シンポジウム

うつくしま浜街道観光推進会議 大場議長のご挨拶で幕を開けた後、みちのく潮風トレイルから、今年6月24日に発足したみちのく潮風トレイル沿線自治体協議会会長 山田名取市市長と東北地方環境事務所 田村所長にも来賓としてご挨拶をいただきました。事務局から事業概要やルート紹介をした後、このトレイル策定のきっかけを作ってくださった、相馬市の立谷市長となすびさんからのご挨拶で式典の部は終了しました。

シンポジウムの部では、東北各地で歩き旅のツアー等を展開されている株式会社インアウトバウンド仙台・松島の西谷雷佐さんと合同会社歩く東北研究所の後藤光正さん、大熊町在住でHITOkumalabの佐藤亜紀さん、一緒に事業を進めてきた公財)福島県観光物産交流協会の守岡文浩さん、一社)トレ研の長谷川晋さんを登壇者に迎え、「ロングトレイルが地域にもたらす効果と期待」というテーマで皆さまからご意見をいただきました。

当日の様子はふくしま浜街道トレイルYouTubeチャンネルで配信予定ですので、今しばらくお待ちください!

10月1日(日)開通記念ハイキングイベント

みちのく潮風トレイルの南の起終点である松川浦環境公園をスタートし、鹿島駅を目指す約21kmの行程です。50名弱の方にご参加いただきました。

雨の中みんなで体操
すっかり晴天に

スタート時はあいにくの雨模様でしたが、徐々に天候も回復し、午後には気持ちの良いハイキング日和に。イベントで歩く距離として考えるとなかなかの長距離だったこともあり、実施前はやや不安もありましたが、参加者の皆さんと無事に鹿島駅に到着することができて胸をなでおろしました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました


ひとまず沿岸ルートが開通しましたが、内陸側の飯舘村、葛尾村、川内村についても、現在進行中のフットパス事業と合わせて検討されていく予定です。

道標もこれから設置、テント場やハイカーの休憩場所等もこれから自治体や地域の方の協力を得ながら整えていきますが、福島県浜通りのありのままを感じていただけるトレイルですので、ぜひみちのく潮風トレイルと合わせて歩いていただければ嬉しいです。
歩かれる際はHPにて地図データをダウンロードいただけますので、必ず地図を携帯するようにお願いいたします。モデルコースやGPXデータもダウンロードできます。また、道路工事等による注意情報はFacebookにて発信していますので、こちらも歩く前にご確認ください。

今回のふくしま浜街道トレイル沿岸ルート開通により、みちのく潮風トレイルと合わせて青森県八戸市から福島県いわき市までの約1,200kmを1本の道として歩くことができるようになりました。みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンターの職員も、ふくしま浜街道トレイルをスルーハイクしたり現地確認したりするなど、皆さまへのご案内ができるように準備をしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

著者 : みちのくトレイルクラブ

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