2022年3月13日(日)、宮城県石巻市にある牡鹿半島ビジターセンターで「みちのく潮風トレイルフォーラム」を開催しました。
石巻市牡鹿半島と女川町にはヤマビルが数多く生息し、1,000kmあるみちのく潮風トレイルの中でも、「(春~秋に歩くときは)ヤマビル対策が欠かせない」という地域はここだけです。
そこで、今回は、この地域のトレイルのルートとヤマビルを学ぶフォーラムを行うことにしました。当日は、新型コロナの感染拡大のため会場参加は17名と制限させていただきましたが、YouTubeによるオンライン配信も行いました。YouTubeでは引き続きフォーラムの様子を配信しておりますので、ぜひご視聴くださいませ。
第1部 石巻市・女川町ルート紹介
実際にルートを歩いて撮影した動画を観ながら、この地域をよく知るお三方にクロストークをしていただきました。
石巻市内の自然道で草刈り等の整備を行ってくださっている、石巻山の会 菅野会長からこの地域の歴史を教えてもらったり、南三陸町・女川町・石巻市の三陸復興国立公園とみちのく潮風トレイルの管理を行っている、石巻自然保護官事務所 晴山アクティブレンジャーから歩く上でのアドバイスをいただいたりしました。この地域のサテライトでもある、南三陸・海のビジターセンター 平井センター長もご存じなかったような話が出てきていたようです。
動画を観ながらお話を聞くことができたので、実際にこのルートを歩くイメージを持っていただけた方も多いのではないでしょうか。
第2部 トレイルを悩ますヤマビルを知ろう!
三重県でヤマビルの研究を行っている「子どもヤマビル研究会(以下、ヒル研)」の皆さまに、この地域の課題でもあるヤマビルについて詳しく教えていただきました。
トップバッターの碓井悠太研究員からはヤマビルとはどんな生き物なのか、2番手の服部琢志研究員からはヤマビルはどこにたくさん棲んでいるのか、3番手の岩永悠太郎研究員からは、ヒルが木から落ちてこないことを証明した研究成果について紹介していただきました。最後に、ヒル研のコーディネーターである樋口大良さんからは、ヒル研の裏話として、子どもの好奇心を研究につなげる方法について教えていただき、「ヒル研みちのく支部を作ってはどうか」というご提案までいただきました。みちのく潮風トレイルを舞台に、自然の不思議を探求する研究会が発足することを祈っております。
発表の終わりには、参加者からの質問にも答えていただきました。「ヒルのどんな所が可愛いと思いますか。」という質問に対して、「ヒョコヒョコ歩くところ」「研究で意外な結果が出てワクワクするところ」「触っているうちにペットのように愛着を持った」と、発表の時は緊張していた研究員の皆さまが笑顔を浮かべて答えてくれたのが印象的でした。
【講師紹介】
子どもヤマビル研究会
三重県四日市市内の小4~中3までの自然が大好きな子どもたちが集まり、ヤマビルの生態について研究されています。子どもたち一人一人が研究者です。
2021年8月に、これまでの研究の成果をまとめたヒルは木から落ちてこない。ぼくたちのヤマビル研究記を出版されました。
登壇者全員で意見交換会・参加者からの質問コーナー
第1部と第2部の登壇者に加えて、ヒル研の別所虎太郎研究員と顧問の西村隆宏さん(ヤマヒル忌避剤ヒル下がりのジョニーの製造販売会社、株式会社エコ・トレード代表取締役)にもご参加いただき、会場参加者やオンライン配信視聴者の皆さまから頂いたご質問にお答えいただきました。
最後に、司会の平井さんから、ルートの車道脇に大量のゴミが散乱していることも紹介され、気持ちよくトレイルを楽しむためにもゴミの清掃活動を行いたいと提案がありました。
ヤマビルもこの地域の自然の一部です。単に厄介者扱いするのではなく、その生態をしっかり理解して対策を取れば、きっと私たちもヤマビルを可愛い存在と思えるはず。そうすると、他の地域では見られない、この地域ならではの景色をもっと楽しみながら歩くことができるのではないでしょうか。
登壇者の皆さま、参加者/視聴者の皆さま、会場を提供してくださった牡鹿半島ビジターセンターの皆さま、協力してくださった皆さま、ありがとうございました。