みちのく潮風トレイルを歩く上で注意してほしいポイントのひとつとして、岩手県洋野町・久慈市の境にある高家川(こうげがわ)の渡渉があります。(ハイキングマップブック1-8)
こちらは通常は幅3mほどの川が二本(真ん中に中洲があります)流れているポイントですが、橋の設置がなく、川に入って渡渉をするのが前提になっているアドベンチャラスなセクションです。この「川に入って渡渉をするのが前提」ということをまずはご理解ください。
(下の写真は水位が膝くらいの比較的穏やかな高家川です)

今日の高家川の水位はどれぐらいですか?
と言ったお問い合わせがたまに名取トレイルセンターにありますが、残念ながらこちらでは日々の現場の状況はわからないのでお答えすることが出来ません。数日前からの雨の状況などを考慮して推測しつつ、実際には現地の状況を見て判断するしかないと思っています。また、春は上流の雪解け水で水量が日常的に増している可能性があります。
特に注意したい!春の雪解け時期/大雨の後、数日間
渡渉出来るかどうかは、ご自身の経験や体力と現地の水位、水流の勢いなどを考えて判断してください。
渡渉を断念して迂回路を歩くとなるとかなり引き返して大きく迂回しますし、特に北上で歩いてきて迂回する場合は急坂を登り直す必要があるので、無理して渡りたくなる気持ちになるかもしれません。
そうであっても、絶対に無理な渡渉はしないでください。渡り始めても、無理だと思ったら勇気を持って引き返してください。国内外で渡渉時の死亡事故は実際に起きています。
迂回路情報はこちら。
渡渉ポイントは?
南に向かって歩いている場合ですが、高家川に着いた辺りに歩行者カウンターがあります。(まずはこちらをポチッと押してくださいね)
この周辺から渡るケースが多いという印象ですが、少し上流に行くと流れが緩やかになっているポイントがある、というハイカーの方からの情報もありました。
いずれにしても足は濡れる覚悟で、北に向かう場合も南に向かう場合も、現地で渡りやすそうなポイントをご自分で判断して川に入ってください。
堰の部分の歩行は、流れが速くなっている、滑りやすいという理由で危険ですので、避けるようにしてください。
渡渉の仕方
渡渉の方法に「確実・安全」はありません。人により、団体により推奨する方法が異なります。ロープや器具を使った安全対策以外は、経験則から言われているものがほとんどだということを忘れないでください。
水中は距離感が掴みにくく、浅く見えても深いということも多々あります。小股、すり足で足場を探りながら歩くのが良いと言われています。やり方として、さまざまな方法が言われています。身体の向きをやや上流に向けるとか、カニ歩きとか、上流から下流に斜めに進行方向をとるとか、決まったやり方がありません。それは、自然の川の水の流れは一定ではなく変わること。大水が出れば川底自体が代わり、別の川のような流れになることなど川特有の自然変化があるからだと思います。歩き方はその場の自分の判断しかなく、現場におらずに推奨できるものはありません。
□高家川は川幅が広く、飛び石で渡渉することは、基本的にできないと考えておくのが良いでしょう。万が一できるとしても、浮石でバランスを崩したり、滑ったりして、転倒してケガをする事例は数多くあります。例え小さな渡渉でも濡れることを嫌がらず、水に入る方が安全です。
□裸足はやめましょう。足を怪我する可能性が高まります。サンダルもやめましょう。水の抵抗を受けやすいので、足をすくわれやすくなります。水抜けの良い靴などで渡ることをおすすめします。
□トレッキングポール等の杖は、渡渉の際に水中を探ったり、体制を安定させたりに役立ちます。
□背中にバックパックを背負ったまま転倒、流されたとするとバックパックの浮力でうつ伏せになってしまい、溺れてしまう恐れがあります。川の中で転倒した時にバックパックをすぐに外せるように、胸、腰のバックルは外しておきましょう。
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高家川の渡渉は、自然に触れる大切さを訴え続けその実践の場としてロングトレイルの普及に尽力された、みちのく潮風トレイルの提唱者である故・加藤則芳さんの思いもありルートに組み込まれたものです。
北から歩き出した時にはこれから始まる体力的難路が多いセクションの入口、南から歩き出した時にはその出口的な存在でもある高家川です。
絶対に無理をしない、「いちかばちか行っちゃうか!」と勢いづいた時こそ、もう一度冷静になって考える。このことを頭の片隅に置きながら、安全に高家川を渡っていただきたいと思います。