みちのく潮風トレイルを歩く前に知っておきたい
― イノシシに遭わないために、遭ってしまったときに ―
近年、みちのく潮風トレイルの各地で、イノシシの目撃情報が寄せられています。自然の豊かさの証でもありますが、ハイカーとしては安全面にも注意が必要です。
今回は、「遭遇してしまったとき」と「遭わないようにするため」の2つの視点から、岩手県や福島県の公的な情報をもとにご紹介します。
イノシシに遭遇してしまったときは
● 刺激しない・近づかない
「イノシシを見かけても、刺激を与えず、興奮させないことが大切です。」(岩手県庁ウェブサイト)。近づいたり、棒で追い払おうとしたり、石を投げたりすると、イノシシが興奮し危険です。見かけたら静かに距離を取り、その場を離れましょう。「見えた!」と駆け寄らず、“そっと離れる”のが最善です。
● ゆっくり後ずさりして離れる
「もしイノシシが近づいてきても、慌てずにゆっくりと後ずさりして離れましょう」(岩手県庁ウェブサイト)。目を離さずにゆっくりと距離を取ることが大切です。また、「建物に入る、物陰に隠れる、木に登るなどして安全を確保する」といった方法も紹介されています。山中であれば、大きな木の陰や岩の裏などに一時的に身を隠すことも有効です。
イノシシに遭わないために
● 餌を与えない・食べ物を放置しない
「イノシシの子供(ウリ坊)でも絶対に餌を与えないでください」(岩手県庁ウェブサイト)。人に慣れたイノシシは人を恐れなくなり、結果として人身被害の危険が高まります。また、野菜くずなどを放置するとイノシシが餌場として覚えてしまうと書かれています。トレイル歩行中の食べ残しやゴミの放置も同じです。食べカスや包装ゴミを持ち帰ることが、イノシシを引き寄せない第一歩です。自然の中で“餌場”を作らないことが、野生動物と人との適切な距離を守る行動です。
トレイルを安全に歩くためのちょっとした工夫
これらの公的な注意点に加えて、トレイルを歩く際には次のような点にも気を配ると安心です。
- 朝夕の薄暗い時間帯はイノシシの活動が活発なため、できるだけ日中に歩く
- やぶや斜面など見通しの悪い場所では、声を出したり鈴を鳴らしたりして“人の気配”を伝える
- 単独よりも複数で歩く
- 緊急時に備えてスマートフォンや笛、ライトなどを携帯する
おわりに
イノシシは基本的に人を避ける動物ですが、驚かせたり、子どもを守ろうとしたりする際に攻撃的になることがあります。「遭わない工夫」と「遭ったときの冷静な対応」を知っておくことで、安心して自然を楽しむことができます。
みちのく潮風トレイルは長大な自然歩道です。安全に歩くためには、自然を尊重する姿勢と正しい知識が欠かせません。自然の中を歩くということは、そこに生きる生きものと同じ空間を共有すること。互いに無理をせず、距離を保ちながら、みちのく潮風トレイルを安全に楽しみましょう。
【引用・参考】
