イベントレポート

みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンター TRAIL DAYS2024イベントレポート

2024/05/02 みちのくトレイルクラブ
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2024年4月13日(土)、14日(日)、みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンター運営協議会主催 みちのく潮風トレイル名取トレイルセンター TRAIL DAYS2024が名取トレイルセンターで開催されました。当センターはみちのく潮風トレイルのルート上に位置し、みちのく潮風トレイルの情報やロングトレイル文化を発信している施設です。ここで、ハイカーと地域が交流できるイベントがしたい!と始められ、3回目3年目の2024年。今年もたくさんの方々にご協力いただき、心温まる、笑顔溢れるイベントとなりました。

それではそれぞれのコンテンツを簡単に報告させていただきます。ご来場いただいた方も、今回は来られなかった方も、TRAIL DAYSの雰囲気をお楽しみいただければと思います。

トークイベント 「ON THE TRAIL〜ロングトレイルを”セクションハイク”のススメ〜
スピーカー:四角 友里さん

TRAIL DAYS 2024は、”山スカート”を日本に広めた女子登山ブームの火付け役、アウトドアスタイル・クリエイター/MOUNTAIN DAISY PRODUCTS代表の四角友里さんによるトークイベントからスタートしました。
全線開通前からみちのく潮風トレイルを応援してくださっている四角さんですが、「せっかく名取トレイルセンターに行くのだからトークイベントもやりますよ!何か少しでもお役に立てれば」という有り難いお申し出をいただき、WEAR商品展示コーナーへの参加だけではなく、トークイベントまでお願いしてしまったという次第です。
言語化が難しいロングトレイルを歩いている時の心情の動きが、四角さんならではの繊細な言葉で表現されて、お話を聴いていて「ああ、とにかく旅に出たい。歩きたい」と気持ちを掻き立てられました。
「夢は時間とともに廃れていく、考える前に飛び込んでみる」という四角さんの言葉が刺さって旅に出ることを決心した、という参加者の方の感想もありました。

TRAIL DAYS 2024は、四角さんのトークイベントでこのようにお華やかに幕を開けたのでした。

トークイベント「夫婦で歩いたPacific Crest Trail」
スピーカー:遠藤 篤史さん、春美さん

2023年にPCTを歩いた遠藤さんご夫妻の、お二人ならではの旅のお話をお聴きしました。
勤めていた会社を退職して向かったPCTで出会ったハイカーやトレイルエンジェル、大雪が残るシエラを迂回したことで訪れることになった街々、カスケードロックで開催されたPCT DAYSで送った日々。そして不意に訪れた旅の終わり。同じPCTでもその年ごとに条件が違うことでその年ならではの旅になり、その条件にどう対応するかでハイカーそれぞれのドラマがまた生まれます。
トークイベントの終盤では会場からたくさんの質問があり、中にはかなり踏み込んだ個人的なお話もあったのですが、ざっくばらんなご夫婦の回答に会場には笑顔があふれていました。
四角さんのトークイベントの後のプログラムということで少し緊張気味にスタートしましたが、お二人らしい温かい語り口に会場の参加者の皆さんも引き込まれていました。
長い距離を歩いたハイカーの話は、やはりとても面白いですね。
遠藤篤史さん、春美さん、お疲れ様でした!

トークイベント「ふくしま浜街道トレイルで私は皆さんを待っている」
スピーカー:中島 悠二さん

ロングトレイル紹介のトークイベントとして、みちのく潮風トレイルと繋いで歩くことが出来る「ふくしま浜街道トレイル」について、写真家の中島悠二さんにお話をしていただきました。
中島さんは、写真家としてみちのく潮風トレイルに長いこと関わってくれています。みちのく潮風トレイルのパンフレットやみちのくトレイルクラブのHPでも中島さんの写真を使わせてもらっているので、ご覧になっている方も多いのではないでしょうか。
ふくしま浜街道トレイルに計画段階から写真家として関わっていくうちに福島に興味を持ち、ついには東京から楢葉町に移住をして、今では「ふくしま浜街道トレイルアソシエーション(FCTA)」として活動している中島さん。その熱い想いを、「ふくしま浜街道トレイルで私は皆さんを待っている」というタイトルで表現してトークイベントに臨んでくださいました。
お話はふくしま浜街道トレイルの概要(トレイルブレイズハイキング研究所の長谷川所長が助っ人として登場)から始まり、中島さんがふくしま浜街道トレイルを(退職してしまった)MTCの森と一緒にスルーハイクした時の思い出エピソードを交えてのトレイル紹介と続きました。
今は復興半ばの場所が多い福島県の太平洋沿岸ですが、だからこそ今でしか見ることが出来ない風景があると思います。最近はみちのく潮風トレイルと繋げて歩いているハイカーの話を聞くことが多くなってきました。皆さんもぜひ、中島さんが待っているふくしま浜街道トレイルへ歩きに行って下さいね。

アパラチアン・トレイル視察報告会
スピーカー:長谷川 晋さん、相澤 久美、松川 亮太

トレイルブレイズハイキング研究所所長・長距離ハイカーの長谷川晋氏と当クラブの相澤、松川が昨年12月に視察で訪問した、アメリカで最初のナショナルシーニックトレイル「アパラチアン・トレイル」。100年間という時間の中、何を大切に、どのように維持され道が繋がり、今に続いているのか。
現地での模様をリポートしてもらいました。
はじめに、長谷川さんからアメリカのロングディスタンストレイル、アパラチアン・トレイル(以下AT)についての概要説明をしていただき、その後は実際にATの運営側の方たちへのヒアリングした内容の紹介、ATとみちのく潮風トレイルの運営で違うところ、見習うべきところなどについての3人のクロストーク、松川からのATのトレイル整備について、また実際にATを歩いてみて感じたことなどなど、なかなか聴くことが出来ない話に参加者の皆さんも興味津津でした。
みちのく潮風トレイルを愛するハイカーの皆さんにとっては、ATのボランティア組織についても興味深かったようです。
みちのく潮風トレイルは全線開通してまだまだ5年。100年続くトレイルにするためにみんなでどうやって育てていくか、考えるきっかけになったのではないでしょうか。

ワークショップ「アルコールストーブを作ってみよう!
講師: Sanpo’s Fun Lite Gear さんぽさん

TRAIL DAYSで毎回大好評いただいているアルコールストーブ作りのワークショップです。ご家庭にあるアルミ缶と、はさみなどの工具で自分だけのアルコールストーブが作れます。アルコールストーブはロングディスタンスハイキングの世界で育まれてきた歴史があります。お湯を沸かす道具として、アルコールストーブは軽い・壊れにくい・燃料の入手がしやすいといった特徴があり、ロングディスタンスハイキングのみならず防災の観点でも役に立つものです。そのアルコールストーブが、通常だとリサイクル回収に出すはずだったアルミ缶で作れてしまうというのです。講師のさんぽさんはワークショップを全国で展開し、自分で道具を生み出す「自作」の楽しさを伝えて回っています。今回も大人からお子様までみんな夢中になってアルコールストーブ作りを楽しんでくれました。世界に一つだけ、自分だけのアルコールストーブ、宝物ができたようで皆さん自慢気に完成品を眺めていた様子が印象的でした。

ワークショップ「ロングトレイルのエマージェンシー講習会」
講師: New-HALE スタッフ 竹谷 浩さん

2023年のTRAIL DAYSでもワークショップを行っていただいた竹谷さん。ロングトレイルをハイキングしている最中に起こり得るトラブルに焦点を当てた、応急処置対応の講習をしていただきました。長く歩く方には必ず持っていただきたい知識です。何も起こらないと思っている時ほど何かが起きる、なんて私は思っています。みちのく潮風トレイルは街が近そうな印象がありますが、中にはお店などがある街中に戻るまで半日以上かかるエリアもあります。特にそういったエリアでは、エマージェンシーの知識のあるなしでご自身を守れるかどうかに影響が出てきます。また、知識があることで自分以外を助けられることもあるかもしれません。さまざまに応用が効くワークショップを竹谷さんにお話していただきました。

特別展示「アウトドアとハイキングカルチャー」
出展: Mountain Daisy Products/TORAYA EQUIPMENT/YAMADA PACKS
/New-HALE/Sanpo’s Fun Lite Gear

旅の歴史は道具の歴史でもあります。みちのく潮風トレイルも歩く旅の道。旅を安全に楽しく進めるためには道具が必要です。旅の経験を元に「こんな道具があったらいいのに!」を原動力に実現化し、メーカーとして活躍されている方たちにそれぞれのハイキングカルチャーを語っていただくべく、名取トレイルセンターに特別出展いただきました。旅の経験豊富なメーカーさんたちに、どんな思いを乗せて道具たちを作ったのか、どういう旅をしてきたのか、この道具たちを使ってどんな旅をしてほしいのか、熱量が高い空間が名取トレイルセンターに展開されていました。

みちのく潮風トレイル沿線とハイカーとの交流「こっこ屋×3ゲストハウス TRAIL DAYS 特別企画」
出展: からあげこっこ屋/しおがまゲストハウスみなと丸/m.s.s.books/鮎川ハウス

みちのく潮風トレイルの塩竈市~石巻市エリアでゲストハウスを営むオーナーさんたちが石巻市北上川沿いのからあげこっこ屋さんとコラボして、名取トレイルセンターに来館してくださいました!このエリアをすでに歩いたハイカーはこの方達にお世話になっている方が多いのではないでしょうか。私もスルーハイク中に涙が出るほど嬉しい温かいおもてなしをいただきました。ゲストハウスの皆さんととこっこ屋さん特別コラボの特製唐揚げカレーを用意して、ハイカーのみんなも混ざって交流ランチタイム。歩いたときの思い出、これからのこと、感謝の気持ち、大好きな気持ちが交換されていく温かな空間でした。みちのく潮風トレイルのサポーターズの皆さん、本当に素敵です!!

スラックライン体験会
協力: NPO法人仙台スラックライ

こちらも毎年大好評!2日間でご参加いただいたのはなんと130人!スラックラインというアクティビティをご存知でしょうか。細いベルト状のラインが渡されていて、その上に乗って渡り切るというシンプルながら奥深いアクティビティです。体幹の筋肉を上手に使って渡り切ることに集中します。全身の感覚を研ぎ澄まして何度も挑戦。ふと気づくと頭はすっきり、身体は汗がじわーっとしている、気づけばのめり込んでしまうアクティビティ。翌日の筋肉痛にはご注意を!私は以前挑戦したときに普段使っていない筋肉を使ったためか心地よい疲労とじわっとした筋肉痛を感じました。
当日は大人もお子さんも夢中になってスラックラインに挑戦する姿を見ることができました。

モルック体験会
協力: 名取市スポーツ協会

近年人気がじわじわと広がっているモルック体験会を野営場で。木の棒を投げて、得点が書かれている木の棒を倒すというシンプルな遊び。50点ピッタリを目指して遊びます。シンプルだけど奥深い…大人もお子様もいっしょになって楽しめます。気持ちいい天候の中、こちらも皆さん楽しんで頂いておりました。

閖上郷土料理のお振る舞い
協力: 閖上町内会の皆様

今年も閖上町内会の皆様にご協力いただきました。閖上郷土料理の「おくずかけ」と「納豆餅&ずんだ餅」。今年も楽しみにしていたのです。お餅の準備は参加者の皆さんにもお手伝いいただきました。働かざるもの食うべからず!お餅つきをお手伝いいただき、準備から楽しい時間になりました。自分で突いたお餅は格別!閖上のおかあさんたちが作ってくれたおくずかけもお野菜たっぷりの優しい味で絶品!お振る舞いいただいた食事をみんなでセンターの園庭にていただきました。今年もありがとうございました!来年もよろしくお願いします。

閖上太鼓 in みちのく潮風トレイル
協力: 閖上太鼓保存会

今年も!!園庭で閖上太鼓保存会の皆様に閖上太鼓の演奏をしていただきました。閖上太鼓の皆さんの演奏は美しく、力強く、心に響きます。聞いていると元気が出る演奏なんです。太鼓の演奏体験もあり、参加された皆さんも一緒に太鼓演奏時間。一体感に包まれる楽しい時間になりました。みちのく潮風トレイルがきっかけで名取市閖上に来てくださったハイカーが、閖上の皆様といっしょになって太鼓を叩いている姿、目に焼き付いています。

似顔絵ライブ!by tam tam dot
協力:特定非営利活動法人多夢多夢舎中山工房

いつもみちのく潮風トレイルの運営にご協力いただいているグリーンメンバーさんのお一人にご紹介いただき、特定非営利活動法人多夢多夢舎中山工房の皆様に似顔絵ライブをしていただきました。名取トレイルセンターの一角で描き手とモデルが顔をあわせてその場でイラスト似顔絵。芸術的な完成度と温かな絵のタッチ。私も描いてもらいたかったなぁ…。描いていただいていた方々皆さんニコニコ。描き手の方もニコニコ。楽しくハートウォーミングな時間で、芸術的なイラストに皆さん笑顔満点。一言でいうと「めちゃくちゃかわいい絵!!」です。tam tam dotさんのその他の活動もとても魅力的です。ぜひチェックしてみてください!

nyuuCoffee
協力: 丹生 茂義さん

北米三大トレイルをすべて歩いたトリプルクラウナー、国内のロングトレイルも様々歩いていて、みちのくトレイルクラブ元スタッフでもある丹生さんが、名取トレイルセンターの皆さんにコーヒーをお振る舞い。こだわりのコーヒーが醸すアロマな香りに誘われて、お振る舞いコーナーは賑わっておりました。丹生さんの柔らかな雰囲気と経験豊富なハイキング談にも誘われて、ついついコーナーの前で長居してしまった方もいらしたのではないでしょうか。コーヒーと楽しいお話で幸せな時間を提供してくださいました。

閖上大作戦!閖上町内清掃活動onみちのく潮風トレイル
協力: 閖上大作戦の皆様、ハイカーの皆様

愛する閖上を美しく!日々清掃活動をしてくださっている閖上大作戦の皆様と協働し、TRAIL DAYSに参加された皆様も一緒に清掃活動をしました。昨年も実施し、大好評でした。今年は名取トレイルセンターの周辺をみんなでキレイに。清掃活動、宝探しみたいで楽しいんです。あー!大きいゴミ見つけた!とワイワイ。いやいや、ゴミがないことが一番ですが、何事も楽しくやろうというマインドで活動を続けられている閖上大作戦の皆様の空気に誘われて、参加した私たちも楽しく清掃活動をしました。トレイルがキレイだとハイカーも気持ちいいものです。自分たちの手でトレイルをキレイにすると、トレイルに愛着が湧いてより特別なものになります。地元がキレイだと嬉しい地元の皆様とトレイルがキレイだと嬉しいハイカー達が混ざり合う素晴らしい時間を過ごすことができました。

アコースティックライブ~線を撫でて~
出演:Isa Guitarraさん

最高です!!!名取トレイルセンターでいつも聞いている美しいギターの音色をライブで聞くことができる、とても贅沢な時間でした。しっとりと聞き入って、心の奥底からリラックスできる優しい音色。Isa Guitarraさんの優しい人柄がギターの音色に乗って、心に届きました。

環境省アクティブレンジャー在駐

みちのく潮風トレイルに東北地方環境事務所(三陸復興国立公園八戸管理官事務所、大船渡管理官事務所、石巻管理官事務所)のアクティブレンジャー(自然保護官補佐)として関わっている3人、そして自然保護官も会期中の2日間名取トレイルセンターに在駐してくださいました。
それぞれの管轄セクションのエキスパートであるアクティブレンジャーの皆さんが、みちのく潮風トレイルの魅力や楽しみ方を伝えてくださいました。
レアスタンプ「レンジャースタンプ」を楽しみに、ハイキングパスポートを持参されたハイカーの皆さんもいて、楽しい交流が生まれていました。環境省の皆様、ありがとうございました!

同時開催 TRAIL GATE特別出店レポート

TRAIL DAYSの日に合わせて、みちのく潮風トレイル名取トレイルセンター内で運営しているギアショップTRAIL GATEに特別出店をしていただきました。そちらの内容をレポート!

陸前高田マイクロブリュワリー&陸前高田市観光物産協会!
高田トレイルエール初おろし!

岩手県陸前高田市より、みちのく潮風トレイルをイメージして作っていただいた「高田トレイルエール」の醸造元・陸前高田マイクロブリュワリーさんと陸前高田市観光物産協会さんがTRAIL GATEに特別出店してくださいました。TRAIL DAYSでしか飲めない、ビールサーバーから注がれる高田トレイルエール、お楽しみいただけたでしょうか。出店いただいた皆様が「ハイカーの顔が見たい!話してみたい!」と思いを寄せてくださり、出店していただける運びとなりました。ビール好きにはたまらなかったでしょう。うーん、また飲みたい…。

多夢多夢舎中山工房 tam tam dotの作品達

かわいいいいいんです!今回はポーチ、靴下を出店いただきました。ご来店のお客様には「選びきれない!…両方買っちゃお!」と複数買いされていく方も。仙台で活躍されているtam tam dotさん、TRAIL DAYSを機にファンになった方もいらっしゃるのではないでしょか。ブログを書いている私もファンです。Instagramをしょっちゅうチェックしています(笑)。皆様もぜひチェックしてみてくださいね!

閖上のうまいもん市

閖上の美味しいものを紹介させていただこうと、4月13日(土)、4月14日(日)限定で閖上特産品を仕入れて販売させていただきました。
1つは佐々木酒造さんのあまざけ。こだわりの麹で作られたノンアルコールあまざけ。かわまちテラス閖上のお店でもご購入いただけます。牛乳で割ってラテにしたものがまた絶品です。
もう1つは佐々直さんの笹かまぼこ。仙台名産と名高い笹かまぼこは閖上に工場を構えています。お酒のあてにも、おやつにも、味わい深いかまぼこはおかずにもなります。
この2つは普段は閖上町内のお店でも販売しています。閖上には美味しいものもたくさんあります!ご賞味あれ!

以上、TRAIL DAYSレポート、同時開催TRAIL GATE特別出店のレポートでした。この両日みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンターにご来館いただいた方は約980名。トレイルが繋いだハイカー×地元の光景はとても素敵で心温まる様子でした。
来年もまた、こうしてみんなで集まりたいです!来年もまたお会いしましょう!よろしくお願いいたします!!!!

著者 : みちのくトレイルクラブ

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