ハイキングで気を付けて欲しいこと

危険生物について「ツキノワグマ編」

2023/04/02 みちのくトレイルクラブ
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東北太平洋岸にも南の地域では桜の季節が訪れ、山や森に住む生き物たちの活動も少しずつ活発になってきたようです。
本来、野生生物が生活している領域に私達がお邪魔する立場なので、「危険生物」という呼称も憚れますが、ここでは便宜上そう呼ぶことにします。
今回は「危険生物」の中でも問い合わせが多い、ツキノワグマへの予防手段、出会ってしまった時の対処方法について、一般的に言われていることを紹介します。

写真は二枚とも北米ロングディスタンストレイル、PCTで出会ったブラックベアです


みちのく潮風トレイルのルート上のほぼ全域の山間部周辺には、ツキノワグマが生息していると考えていただきたいです。目撃情報は、たまたま人の目に触れる場所にクマが出てきた、ということです。
ただ、クマは人を襲おうと待ち構えている訳ではなく、本来は人を避けるように注意深く生活していると言われています。
人もクマもお互いに気が付かないうちに接近してしまい、不幸なことに出会い頭に鉢合わせして、驚いたクマが人を襲う、という事例がほとんどのようです。

私たちハイカーが出来ることは、クマが住んでいる自然の中にお邪魔する者の礼儀として、クマに自分の存在を気付いてもらいながら歩くことです。必要以上に怯える必要はないと考えていますが、クマが住んでいる領域を歩いている、という意識は常に持っていただきたいです。

人を襲ったクマは、危険個体として駆除対象となってしまいます。お互いに不幸な事態を生まないためにも、ハイカーはクマとの遭遇を避けるための行動を、きちんとするべきだと考えます。

クマとの遭遇を防ぐためには

■早朝や夕暮れ時、夜間など薄暗い時間帯の外出は極力避けましょう。山に生息するクマは昼行性、人里近く生息するクマは人間を避けて夜行性と言われています。昼行性の場合も、早朝や夕暮れ時を中心に活動するようです。

■鈴やラジオなど、音が出るものを携帯し、自分の居場所を知らせましょう。クマ鈴やラジオの他、定期的にホイッスルを鳴らす、トレッキングポールを打ち鳴らす、大声を出す、歌を唄うなどの行動を取って、人間が歩いていることを知らせましょう。

■クマの糞や足跡などを見つけた際には引き返すこともご検討ください。
クマの生活圏内に足を踏み入れた、という明らかなサインです。通常以上に気をつけて(存在を知らせて)行動してください。

クマと出会ってしまったら

〈環境省の参考資料より抜粋しました〉
http://www.env.go.jp/…/docs/docs5-4a/kids/full.pdf…(出典:環境省)
■遠くにクマを見かけたら
・落ち着いてその場を離れる。
・大声を上げたり、走って逃げたり、クマを驚かせるような行動を取らない。

■近くにクマがいることに気付いたら
・落ち着いてゆっくりその場を離れる。
・クマに背を向けず、クマを見ながらゆっくりと後退する。
背を向けて走って逃げると、本能的に追いかけてくるようです。

■すぐ近くで出会ってしまったら
・慌てた人の急な動作にクマも驚いて攻撃してくることがある。
冷静に慌てず、クマが立ち去ってからその場を離れる。
・突発的に襲われたら、両腕やバックパックで顔や首、頭をガードして、大怪我を防ぐ。

クマにすぐ近くで出会ってしまって、冷静に慌てずに行動出来る自信は全くありませんが、刺激しないようにすることが大切なようです。

岩手県宮古市、釜石市、大船渡市など、自然歩道だけではなく民家近くの舗装路でも目撃されている地域もあります。不幸なことに人的被害にあってしまった場合もあります。
幸いなことに、みちのく潮風トレイルのハイカーでクマの被害に遭ったという事例は、今のところは出ていません。
(※2023年7月に、浄土ヶ浜ビジターセンター付近のトレイルルート上で観光で歩いていた方がクマに襲われるという不幸な事故が起こってしまいました。)

しかし、トレイルルート上でのクマの目撃情報はいくつか寄せられています。
クマに出会わないための行動、努力を十分にしながら、みちのく潮風トレイルのハイキングを楽しんでいただきたいと思います。

ちなみに、三陸海岸に生息するツキノワグマは冬眠しないと巷では言われていますので、冬季も油断禁物で願いします。

著者 : みちのくトレイルクラブ

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