4県29市町村を貫く「みちのく潮風トレイル」。地方公共団体を始め、さまざまな所有者によって管理されている道を繋ぎ、1000kmを超える「歩くための道」となりました。道の管理者だけではなく、地域団体やガイド組織、個人、宿泊施設や交通事業者、そしてこの道を歩くハイカーなど、数多くの人々の協力と協働がなければこの道を一本の道として未来に繋いでいくことは難しいです。
多様な人々の間でこの道を共有するために策定されたのが「みちのく潮風トレイル憲章」です。なぜ、この道がつくられ、何のために未来に繋いでいこうと私たちは願うのか、憲章には、持続可能な広域連携に必要となる時間や距離を超えて共有されるべき思いや理念が記されています。
みちのく潮風トレイル憲章
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北太平洋沿岸に未曾有の被害をもたらしました。千年に一度と言われる自然の猛威に直面し、自然とどのように向き合うべきか国内外問わず世界中の多くの人たちが考えざるを得ない大きな転換点となりました。
環境省は震災後、持続可能な地域づくりを目指すと共に豊かな自然と地域の暮らしを未来に引き継ぐため「グリーン復興プロジェクト」を策定し、取り組みを進めてきました。その取り組みのひとつが、「みちのく潮風トレイル」です。 自然と人との関わり方を考えるために「自然の中を歩くこと」の大切さを提唱し続けた加藤則芳氏より、「三陸海岸の国立公園を通るナショナルトレイルを官民協働で」との提唱を受け、青森県八戸市から福島県相馬市までの4県28市町村※にまたがり太平洋沿岸を一本の道でつなぐ、海岸のロングトレイルが誕生しました。
美しい自然や景観はもちろんのこと、地域に暮らす人々とこの地を訪れる人々との交流、自然の恵みと震災の記憶、自然との共生の中で育まれた暮らしや歴史・文化を大切にし、このトレイルに関わる人々にとって「自然と人の共生を示す象徴の道」となり、誇りあるナショナルトレイルとして存続することを願い、ここに6つの憲章を定めます。
- 美しい風景と風土を楽しむ道とします。
- 地域に暮らす人々とこの地を訪れる人々との間にこころの交流が生まれる道とします。
- 自然の優しさと厳しさを胸に刻む道とします。
- 震災をいつまでも語り継ぐための記憶の道とします。
- 豊かな自然・文化を次世代へ受け継ぐ道とします。
- 歩くことを愛する全ての人々を歓迎し、皆で育てる道とします。
- The trail will be for enjoying beautiful sights and natural features.
- The trail will bring about connections between people who live in a place and those who visit that place.
- The trail will leave lifelong memories of nature’s kindness and harshness.
- The trail will forever testify the memories of disaster.
- The trail will pass on rich nature and cultures to future generations.
- The trail will welcome all who love to walk and will develop with everyone’s help.
※2023年3月に宮城県角田市が新たにみちのく潮風トレイル運営計画構成員に参画し、4県29市町村にまたがる ロングトレイルとなりました。